更新日:2022年6月28日
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阿弥陀来迎図は、浄土信仰とともに、平安時代後期からさかんに描かれました。鎌倉時代になると、こうした山越の阿弥陀図が登場します。その成立については、恵心僧都源信(942~1017)が、比叡山横川の不二が峰において、光明を放ってふたつの峰の間から出現した阿弥陀三尊を目撃し、感激してその姿を自分の袖に書きつけたという伝説が伝えられています。しかし、その作例はかならずしも多いとはいえません。現存する最古の作例は京都禅林寺の「山越阿弥陀図」(国宝)で、13世紀前半に描かれました。
本図は江戸時代後半の作と推定されますが、作例の少ない山越阿弥陀図の中でも、比較的めずらしい図様を伝えています。往生者を迎えるために、阿弥陀如来が山の背後から上半身を大きく現し、勢至、観音の二菩薩は雲の上にあってなお天上にいる風情ながら、すでに山のこちらへ来迎しています。
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