更新日:2022年6月28日
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平安時代の閻魔天は菩薩形をとり、水牛に乗った半跏像か坐像です。閻魔天が忿怒の相をみせるのは平安末期ころからです。そして、鎌倉時代に入って、六道救済思想をもつ浄土教の閻魔王との区別があいまいになり、十王信仰と共存した本格的な造形化が進みました。この世で罪を犯した者は、地獄へ堕ちると考えられていましたが、その地獄堕ちを斟酌するのが閻魔王であり、そのため閻魔王の情状にすがろうとする閻魔王信仰が生まれたのかもしれません。
真光院の木造閻魔王坐像は、寄木造で、左手は掌を仰向けて膝の上にのせ、右手に笏を握っています。墨書銘はありませんが、江戸時代後期の作と考えられます。像高81センチメートル。ヒノキ材で、像表面は紙張りの上に泥地朱塗り。宝冠の一部、胸飾りおよび笏は金箔を押しています。顔面部表面は昭和48年(1973)の修理で再塗装しました。
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