更新日:2022年6月28日
ここから本文です。
つりしのぶは、しのぶ草をさまざまなかたちに束ねて、家の軒や庭などにつるし、夏場に涼味を添えるものです。これに風鈴をつるすこともあります。現在では材料採取も困難になり、専業とする職人も少なくなりました。江戸川区ではこれを扱う園芸農家も数軒ありますが、専業とするのは深野さんの江戸川萬園だけです。伝統の風物詩を伝える貴重な存在です。
シノブはシダ類の一種で、山中の岩や大木の幹などに着生する落葉性の多年生草本です。この根茎を丸めて玉にし夏の観賞に供するのは、江戸時代からの風習といわれています。玉状のもの、やかた船や井桁・灯篭といった形に仕上げるものがあります。初夏に葉が出て、夏の間、みずみずしい緑が涼味を誘います。
深野晃正さん(昭和16年生まれ)は、父親の兼吉さんの仕事を見て育ち、中学卒業と同時にこの道に入りました。しのぶ草は生きた植物ですから、その管理にも神経を使います。また、材料をもとめて自ら近県の山に入ることも少なくありません。特に近年は材料探しに奔走することが多いといいます。廉価であることにこだわりをもち、意匠にも創意工夫を凝らしながら、伝統の技と風物を守っています。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください