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更新日:2024年3月5日

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上小岩遺跡出土遺物

昭和50年代から平成元年にかけて実施された下水道整備に伴う発掘調査の報告書『上小岩遺跡1』(上小岩遺跡調査団編集、上小岩遺跡調査会発行、1988年)に掲載された考古遺物で、弥生時代後期から近世までの出土遺物317点です。出土遺物は後代の土地利用等により破壊され、細片が大半を占めますが、遺構内からは比較的原型に近い資料が出土しました。

弥生時代後期から古墳時代前期にかけての出土遺物としてS字状口縁台付甕があります。S字甕は濃尾平野に出自を持つ土器とされ、本件のS字状口縁台付甕は東海地方で生産され持ち込まれたか、上小岩遺跡やその周辺で制作された可能性があります。その他に、畿内系の技法による小型甕、北陸地方特有の形態を有する器台が確認されました。このことは、当該地域と上小岩地域との繋がりを示唆するものと考えられます。

また、代表的な中世の遺物として、板碑が挙げられます。板碑は平安時代末期から中世にかけて石で造られた供養塔です。板碑はほぼ原型を止めており、形成された時期不明の井戸跡から発見されました。上部にキリーク(阿弥陀如来の種子)、その下に勢至菩薩と観音菩薩をあらわす梵字が確認できます。さらにその下に、15世紀代の「康正」年間の紀年銘が刻まれています。北小岩地域は12世紀から16世紀まで、文献資料に集落の存在を示す記載がみられることが知られており、この時期の東京低地東部の中世の人々の営みを知る重要な手掛かりになると思われます。

さらに、上記のS字状口縁台付甕と板碑以外の出土遺物も、細片であっても形式や年代、組成、分布状況等の情報を有し、地域史を考える資料として貴重です。

  • 江戸川区指定有形文化財・考古資料
  • 清新町2丁目1番2号 江戸川区教育委員会
  • 令和6年2月13日告示

S字甕 板碑

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