遠い夢 未来へのささやき まちの鼓動 ふるさとの原風景
更新日:2025年8月7日
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池田孤村筆の絹本着色図です。軸装で、本紙の大きさは縦99.5センチ、横32.6センチです。「孤村三信写」の署名と落款、軸部に「孤村草花図」の墨書があります。
この図は、朝顔・立葵・撫子・女郎花など、夏から秋にうつる季節の草花を描いています。酒井抱一(1761~1828、池田孤村の師匠)や俵屋宗達(生没年不詳)らの好んで描いた四季草花図の伝統を伝える図柄です。特に夏秋草は酒井抱一が好み、得意とした画題です。蕾や葉、朝顔の花には、琳派伝統の「たらしこみ」の技法がみられます。
池田孤村(1803~1868)(注)は越後出身で、名を三信といいました。若くして江戸に出て酒井抱一に師事しています。孤村は号で、孤邨祁とも書きました。絵画だけでなく、茶道や和歌にもすぐれていました。抱一の刊行した『光琳百図』に倣って『新撰光琳百図』を出版したり、慶応元年(1865)には『抱一上人真蹟鏡』を刊行しました。没後、当時本所にあった大雲寺に葬られました。
この図は「絹本著色鶴図」とともに、15世市村羽左衛門丈の旧蔵品で、16世市村羽左衛門丈夫人から孤村の墓所である大雲寺に寄進されました。
(注)池田孤村の生涯は多くの部分が未詳であり、生没年は、従来1801~1866とされてきましたが、菩提寺である大雲寺(現在は江戸川区瑞江4丁目)の墓碑銘や、『大雲寺墓碑銘考』等により1868(慶応4)年没が正しいとされるようになりました。生年に関しては確証はなく、没年齢を66歳として逆算し、1803年としています。
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