更新日:2023年12月20日
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2023年(令和5年)12月20日 お歳暮や年賀向け「手ぬぐい」の出荷が最盛期
国の伝統的工芸品に指定された伝統技法で製造
染色加工を営む村井染工場(代表取締役・三代目:村井光寿(むらいみつとし)/61歳/一之江6丁目)では、年末年始に向けて、お歳暮や新年の贈答用などに使われる「手ぬぐい」の出荷が始まっており、染色作業などが最盛期を迎えています。
今年10月、国の伝統的工芸品に指定された「東京本染注染」。江戸時代に確立した「注染(ちゅうせん)」という伝統的な技法を用いており、裏表が無く染め上がるのが特徴です。中小河川が多く流れる江戸川区では、その豊富な用水を利用して浴衣などの染色業が発展。最盛期となった昭和30年代には、同工場の周辺に約30軒の染色業者がありました。しかし、生活様式の変化や機械化などによって需要が減り、業者は年々減少し、現在都内に4軒、区内には2軒を残すのみとなりました。
製造工程は、初めに長尺の白布に型紙を乗せてから防染糊をヘラで糊付け。生地を屏風状に折り返しながら約40枚分繰り返した後、重なった生地にやかん(ジョウロ型の道具)で調合した染料を注ぎ染めます。防染糊や不要な染料を水洗いすることで、糊のついていないところが染めあがります。その後、高さ約15mある干し場「やぐら」で自然乾燥させ、乾いた布地のしわ取りをすると完成。12の工程からなる作業のほとんどを現在も手作業で行っており、複雑な柄によってはこの工程を何度も繰り返します。
同工場で手ぬぐいを作っているのは、光寿さんと光寿さんの次男の改(かい/29歳)さんら10名。光寿さんは、高校卒業後に家業の染物に携わり、この道40年以上の職人です。2006年には「東京都伝統工芸士」として認定されており、父親で先代の村井米扶(むらいよねすけ/同社取締役会長/87歳)さんから受け継がれた伝統的な技法で製造しています。今では先代と同じく、すべての工程を光寿さんが中心となってこなします。
寒空に穏やかな陽射しが降り注いだ今日(20日)、同工場の干し場「やぐら」には、染め上げた生地が吊るされ、風にはためいていました。日本にしかないこの技術を守り広げていきたいという光寿さんは、「手ぬぐいは切りっ放しなので雑菌がたまりにくく、乾きやすいので、日用品として多くの人に使ってほしい」と話しました。
年賀贈答などに用いられる企業用名入りのものをはじめ、お祭りや行事が再開したことで発注が増えており、年末も29日まで作業は続きます。なお、同工場では受注生産と卸売りのみで小売りは承っていません。
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