心のよりどころ「駄菓子屋居場所 よりみち屋」でSDGs

みなさんは日々、どのようなSDGsの取り組みをしていますか？区民のみなさんが取り組まれている身近なSDGsを、区がまとめた「SDGsえどがわ10の行動」とともに紹介します。今回はひきこもり状態の方が安心して過ごすことができる、江戸川区駄菓子屋居場所 よりみち屋を取材させていただきました。

駄菓子が並ぶ「よりみち屋」は就労体験も可能

令和5年2月27日、瑞江駅そばに区営の駄菓子屋としてオープンしたよりみち屋。ここは、ひきこもり状態にある方が気軽に立ち寄って安心して過ごせる場所、そして駄菓子の販売などの就労体験を最短15分から体験できる場所となっています。スタッフは社会福祉士や精神保健福祉士、ケアマネジャーなど全9名。就労体験では、清掃や商品の陳列、POPづくりなどの裏方作業を行ったのち、一人ひとりの状況を判断しながら、接客やレジ打ちなど表の作業にも挑戦することができます。社会福祉士・精神保健福祉士の伊藤則雄さんは、「まずは当事者の方の居場所になることが最優先。徐々に外出することや家族以外の方との触れ合いに馴れていただき、時間をかけてステップアップしていくためのサポートを行なっています」と話します。

スタッフはひきこもり経験者

スタッフのひとり、久木野義和さんは10年間ひきこもりの状態にあった経験者。摂食障害もありましたが、苦しい時期を乗り越え、現在毎週水曜・木曜によりみち屋で皆さんをお迎えしています。久木野さんはコロナ禍を経て、自分の状況を改めて見つめ直し、社会復帰をしようと決断したと話してくれました。「僕自身がひきこもりを経験しているので、当事者の方のお気持ちはよくわかります。僕だけに限らず、ここにいるスタッフはみんな、ゆっくり時間をかけて当事者の方のお話を聞くことを大切にしています。長年のひきこもり状態から、少しずつよりみち屋に通うようになり、就労体験に挑戦している方もいます。まずは気軽に立ち寄ってもらえるとうれしいです」と久木野さん。いまでは子どもから大人まで多くの人が、久木野さんに会いに訪れています。「自宅以外の場所に出ようとすると、朝起きなければいけません。僕もとても苦労しました。最初は週に1回でも大丈夫。自分のペースに合わせて朝起きてみれば、少しずつ前に踏み出せると思っています」（久木野さん）

来所する方々に合わせた空間づくりで快適な時間を提供

よりみち屋には、ひきこもり状態の方だけでなく、地域の子どもから年配者まで多くの人が来所しています。店内のソファが置かれたくつろぎスペースでは、読書やゲームをしたり、集まった人同士で会話をしたりと、自由に過ごすことができます。一方で、精神的な病や不安を抱えた方にとっては、子どもたちの声や周囲の目線が気になることも。そんなときはカーテンで空間を区切るなど、来所する方々にとって快適な空間になるように工夫を凝らしています。取材当日、精神障害を抱え、自宅にこもっていた方のお話を伺えました。「自宅以外はスーパーなどにしかいくところがなかったけれど、よりみち屋ができたことで立ち寄れる場所ができ、お友だちもできました」。何気ない日常の中にふらっと立ち寄れる場所があることは、心の平穏につながるはず。まずは駄菓子を買いに訪れてみてはいかがでしょうか。

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