更新日:2024年8月13日
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第1回 現在・将来の自分自身と、将来の子どものために
みなさん、はじめまして。千葉大学医学部附属病院の産婦人科医、佐藤美香です。
産婦人科は妊娠・出産のイメージが強いかもしれませんが、今回は妊娠前の健康に着目したプレコンセプションケア(プレコン)についてご紹介します。
プレコンセプションケア(プレコン)とは
プレコンセプションは、プレ=前、コンセプション=授かること、という意味です。プレコンとは、つまり妊娠前からの健康管理のことです。
プレコンの目的は3つです。(SMART LIFE PROJECTホームページ(注1)より)
- 若い世代の健康を増進し、より質の高い生活を実現してもらうこと。
- 若い世代の男女が将来、より健康になること。
- 1の実現によって、より健全な妊娠・出産のチャンスを増やし、次世代の子どもたちをより健康にすること。
プレコンの対象は、すべての妊娠の可能性がある年代の男女、つまり男性や、妊娠が近い将来でない方も含まれます。若い世代の方が現在と将来、より健康になることで、将来授かる自分の子どもも健康になることが期待されます。
全4回のプレコンセプションケア(プレコン)についての連載を通じて、皆さんが自分自身と家族の健康・生活を見つめなおすきっかけになればと考えています。
すぐに取り組めるプレコン
第1回目では、プレコンの中でもすぐに取り組めることをご紹介します。まずはこの3つから始めてみましょう!
葉酸の摂取
妊娠を計画している女性は、すぐに葉酸のサプリメントを飲み始めましょう。赤ちゃんの脳や脊髄(せきずい)の発達異常である「神経管閉鎖障害」という奇形のリスクを下げることができます。
禁煙
喫煙は男女ともに不妊のリスクです。また、妊娠中の喫煙は早産や妊娠中の子どもの発育不全(胎児発育不全)など、子どもの健康にも悪影響を及ぼします。さらに喫煙は肺がんや心筋梗塞、動脈硬化や糖尿病など、将来の健康に悪影響を及ぼします。電子タバコにも有害物質が含まれており、健康を害するおそれがあります。男女ともに禁煙に取り組んでみましょう。
心の健康
心の健康についても見つめてみましょう。妊娠中・産後はホルモンや生活の変化によって、心の健康が害されることがあります。妊娠中のうつ状態は早産や胎児発育不全のリスクという報告があります(注2)。また、男性の産後うつがあることも最近わかってきました。過度なストレスは不安や抑うつの原因となりますので、日ごろからストレスをためないように心掛けましょう。
睡眠不足もうつのリスクですので十分な睡眠をとりましょう。ただし、眠りたいのに眠れない(不眠)、不安や気分の落ち込みで生活がままならないなどの症状は心の健康の黄色信号かもしれません。心配な症状があれば精神科での相談をお勧めします。
まずは今回ご紹介したことから始めてみてください。小さなことの積み重ねが安全な妊娠のチャンスを高め、自身の将来の健康、将来授かる子どもの健康にもつながります。
第2回目以降では、体重管理のこと、月経のこと、男性プレコンについてお伝えする予定です。自分・家族と将来の子どものために、一緒にプレコン、始めましょう!
千葉大学医学部附属病院 産科・婦人科 佐藤 美香 助教
参考文献
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