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更新日:2024年3月1日

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第11回 こころの健康

心の健康とは「人々が人生のストレスに対処し、自分の能力を発揮し、よく学び、よく働き、地域社会に貢献することを可能にする精神的な幸福の状態である」(WHO)とされています。この定義からすると、まず人生のストレスにうまく対処することが重要となります。

ストレスとは変化した状態のことで、変化を与えるものをストレッサーと呼びます。私たちは仕事や人間関係、家族、病気、災害などから生じる様々なストレッサーに出会い、悩みや不安、落ち込み、怒りという反応が起こります。そして、不眠や食欲低下、筋肉のこわばり、動悸、過呼吸、血圧上昇、知覚過敏など体の状態も変化し、長期化すると慢性的な寝不足や過労、イライラ、食欲異常、胃腸炎、高血圧、糖尿病など病的な状態になります。身体的な変化に対しては腹式呼吸などのリラクゼーション法や軽い運動による緩和も大事になります。では、ストレッサー自体にはどのように対処すればよいでしょうか。

ストレッサーの中には自分の力で変化させて解決できるものがあります。一方で、自分では変化させることができないこともあり、その場合にはストレッサーの受け止め方を変えることによって解決するという方法をとることになります。この受け止め方には個人差があるため、自分の受け止め方の癖を知ることも大事です。受け止め方を変えることによって、より前向きにストレッサーに向き合えるようになるかもしれません。

しかし、ストレッサーへの対処法を冷静に判断できないこともあります。その場合には、しばらく忘れようとか気分転換しようという気晴らしが必要になります。また、時には一度感情を出してしまうのも良いでしょう。辛いときに共感してくれる人がいることが重要です。自分の能力や知識では解決できないことも多く、勇気を出して、信頼のできる人や専門家に助けを求めるという支援探索型のコーピングを取ることも大事です。

千葉大学医学部附属病院 伊豫雅臣教授(精神神経科)

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