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更新日:2024年2月1日

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第10回 運動習慣と健康

様々な病気に対し、多くの治療法がありますが、その中でもご自身で出来る治療法の一つは運動です。筋肉が減ると、筋肉から出される善玉、悪玉のサイトカインや性ホルモンのバランスが崩れ、がんや内分泌疾患などを引き起こすと考えられています。また、このような状態では肩こりや腰痛が酷くなり、転びやすく、転倒骨折の危険があります。

「座りっぱなしで体を動かさない」ことを意味するセデンタリーという言葉があります。1988年と2020年を比べると、世界的に男性で4倍、女性で2.7倍にセデンタリーの方が増えています。400万人以上の解析では、セデンタリーが1日2時間増えるごとに、大腸がん、肺がんのリスクが6-8%高くなります。また、台湾の42万人の解析では、1日15分の運動で死亡率が14%減少し、さらに15分追加すると、4%の死亡率減少につながると報告されております。

運動は意識して行うことが重要です。ホテルの清掃員を2グループに分け、一方にだけ「掃除も運動です」と教えた場合と教えない場合を比較した結果、そう教えたグループは体重が1.5キログラム減り、血圧や血糖値も下がりました。

国民愁訴で最も多いのは腰痛です。人生の内で一度でも腰痛に悩んだことがある方は全国民の85%で、その経済損失は年間約3兆円です。体幹筋量が23キログラム以下になると腰が曲がり、腰痛が悪化しますので、予防する運動は重要です。

最も効果的な運動は、筋トレ等、スクワットや鉄アレイなどを使った負荷を与えたトレーニングです。週2回程度、3か月行うと事が望ましいです。ただし、大変なトレーニングなので全ての人に適応となる訳ではありません。その場合、歩行や水中運動など中程度の有酸素運動がお勧めです。また、片足立ち、軽いスクワットを深呼吸するペースで1日3回程度行う方法もあります。このような運動でも病気に有効でありますので、無理のない範囲でお試し下さい。

千葉大学大学院医学研究院 大鳥 精司教授(整形外科学)

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