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更新日:2024年12月15日

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第4回 共生社会を実現する~柔軟な働き方と心理的安全性~

会議をする作業着の男女

千葉大学医学部附属病院次世代医療構想センターの吉村健佑(よしむらけんすけ)と申します。大学病院の産業医・精神科医として、主に職員のメンタルヘルス不調の予防と対応なども担当しています。

江戸川区は「ともに生きるまち」共生社会の実現を目指していることを知っていますか。

共生社会は、さまざまな価値観や背景(年齢、性別、国籍、宗教、障がいの有無、社会的地位など)を持つ人々が、互いに尊重し合い、助け合う社会を指します。現代の超高齢化社会では、地域・家庭・職場で支え合いの基盤が弱まってきています。人生における様々な困難に直面し、複数分野の課題を抱え、複合的な支援が必要な場合でも、誰もが役割を持ち、お互いを認め合い、支え合うことで、その人らしい生活を送ることができるようなまちづくりが求められています。こうした背景を踏まえ、共生社会の実現を目指すため江戸川区では「2100年の江戸川区(共生社会ビジョン)」「ともに生きるまちを目指す条例」を策定し、将来に向けても、安心して自分らしく暮らせるまちであってほしいと考え、取り組みを進めています。

共生社会の効果

共生社会は、子どもたちが高齢者等と日常的に関わり合いながら暮らすことで、健全な成長を促したり、高齢者が子育て支援の役割を担うことで介護等の予防に効果が見られたり、障がい者が活躍する場を持つことで自己実現に寄与する等の効果が期待されています。たとえば海外ではイギリスでも地域住民が社会と積極的に関わることで、個人の健康を促進する取り組みを推奨しています。国内でも富山県や三重県において子ども支援センターが共生社会の拠点として活動する等、その効果も徐々にみられているところです。

共生社会の実現のための柔軟な働き方

共生社会の実現のためには、育児休暇や介護休暇の充実、不調に至った際の復職支援プログラム、メンタルヘルス支援など従来の働き方にとらわれない柔軟な働き方を認める必要があります。特に最近は働く女性の健康に注目した「フェムテック」が話題になっています。もう一つのキーワードとして、「心理的安全性」があります。これは職場や社会における場で自由に意見を述べたり、質問や提案を失敗を恐れずに発言できたりすることです。こうすると、組織内の風通しが良くなり、生産性が上がり、面白いアイデアが出しやすくイノベーションが起こりやすくなることが科学的にわかっています。心理的安全性を高める方法はとてもシンプルです。「話を丁寧に聞く」「やむを得ない事情に怒らない、責めない」「解決策を一緒に考える」「ねぎらいを言葉で伝える」「なんでも相談してねと伝える」など、日々実践しやすいものです。

こうした一つひとつの取り組みを通じて、区や区民一人ひとりが支え合い、みんなが暮らしやすいまちになることで、健康で自分らしく生きられる社会になるといいですね。

千葉大学医学部附属病院次世代医療構想センター 吉村健佑 センター長

参考文献

1)稲葉可奈子. シン・働き方~女性活躍の処方箋~. きずな出版. 2024.

2)エイミー・C・エドモンドソン. 恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす. 英治出版. 2021.

3) Involving people in their own health and care: Statutory guidance for clinical commissioning groups and NHS England

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