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更新日:2025年5月21日

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2025年5月21日 「江戸扇子」が出荷最盛期

伝統の技が光る粋な逸品

江戸時代から伝わる伝統工芸品「江戸扇子」の技を引き継ぐ江戸扇子工房「まつ井(北篠崎2丁目)」では、本格的な夏に向けて注文が増え始め、連日作業に追われています。

完成した江戸扇子「江戸扇子」は、元禄年間に京都から伝わったのが始まりといわれ、貴族文化で誕生した繊維で雅やかな「京扇子」に比べ、粋ですっきりとした印象。約30本の骨を使用し、扇面に華麗な綿や絹が用いられる京扇子とは対照的に、江戸の町人文化で生まれた江戸扇子は、15本の竹の骨と和紙のみで制作されます。パチッと音を立ててきれいに閉じるのが特徴で、寄席などで高座扇子としても使われています。2枚の表紙に芯紙をはさんで貼り合わせて平地を作る「扇面加工」や、折り目がついた型紙で平地をはさんで折り合わせる「折り」、扇骨を通す穴を開ける「中差し」など、30以上もある制作工程を一人の職人が全て行うことで、こだわりや趣が扇子に表れるのが魅力です。

同工房で江戸扇子を制作しているのは、都内でもわずかとなった職人の一人である松井宏(まついひろし/78歳/江戸川区指定無形文化財/平成26年度東京都優秀技能者知事賞受賞)さん。昭和50年代頃までは都内に20人以上いた職人は徐々に減少し、区内では松井さんただ一人が江戸から続く伝統を守り続けています。伝統的な絵柄の扇子を制作する一方で、新たな伝統工芸品の開発に取り組む事業「えどがわ伝統工芸産学公プロジェクト」を通じて、女子美術大学の学生たちとコラボレーションした作品も手がけています。

今年も、本格的な夏を前に4月頃から注文が増加。5月から8月は特に注文が集中し、松井さんは、午前9時から翌日午前1時頃まで連日制作に追われています。本日(21日)も、工房では「折り」や「中差し」などの作業を行っていました。扇面に描かれるデザインは、区特産の金魚や朝顔といった夏らしい絵柄や、今年の干支であるヘビを描いたものなどが人気。近年は外国人観光客からも注目を集めており、ピンクや水色などのパステルカラーや、花柄など華やかなデザインの注文も増えています。また、発売から10年以上愛され続けている「グラデーション扇子(税込4,700円から)」も売れ筋の一つ。あおぐ時に着物の袖に当たらないよう片側が短いデザインとなっているのが特徴で、閉じたときの扇面の美しい模様とグラデーションが目を引きます。江戸の粋を継承する松井さんと美大生の斬新なデザインアイデアから生み出された逸品です。

時代に即した新しい柄や色合いを日々模索しているという松井さんは、「まつりや盆踊りが増える夏に向けて、気軽に涼をとれる扇子を多くの方に手に取ってもらいたい。若い人にも使ってもらい、伝統工芸を知るきっかけになれば嬉しいです」と話しています。

現在は、タワーホール船堀(船堀4丁目)内の「アンテナショップ エドマチ」や、篠崎文化プラザ(篠崎町7丁目)内の「伝統工芸カフェ・アルティザン」などで店舗販売しています。

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