更新日:2024年12月6日
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2024年12月6日 お歳暮や年賀向け「手ぬぐい」が生産最盛期
国の伝統的工芸品に指定された技法で製作
染色加工を営む村井染工場(代表取締役・三代目:村井光寿(むらいみつとし)/62歳/一之江6丁目)では、年末年始に向けて、お歳暮や新年の贈答用などに使われる「手ぬぐい」の出荷が始まっており、染色作業などが最盛期を迎えています。
中小河川が多く流れる江戸川区では、豊富な用水を利用して浴衣などの染色業が発展。最盛期となった昭和30年代には、同工場の周辺に約30軒の染色業者がありました。しかし、生活様式の変化や機械化などによって需要が減り、業者は年々減少し、現在は都内に4軒、区内に2軒を残すのみとなりました。同工場では、裏表がなく染め上がることが特徴の「注染(ちゅうせん)」という技法を用いています。国は昨年10月、この「東京本染注染(とうきょうほんぞめちゅうせん)」を伝統的工芸品に指定しました。
製作工程は、初めに長尺の白布に型紙を乗せ、防染糊をヘラで糊付け。生地を屏風状に折り返しながら約40枚分繰り返し、重なった生地の上から調合した染料をやかんで注いで染色します。防染糊や不要な染料を水で洗い流すことで、糊のついていないところが染め上がります。その後、高さ約15メートルの「やぐら」で自然乾燥させ、乾いた布地のしわ取りをしたら完成。12の工程からなる作業のほとんどを現在も手作業で行っており、複雑な柄によってはこの工程を何度も繰り返します。
同工場で手ぬぐいを作っているのは、光寿さんや光寿さんの家族など10名。光寿さんは、高校卒業後に家業の染物に携わり、この道40年以上の職人です。2006年には「東京都伝統工芸士」として認定されており、先代の村井米扶(むらいよねすけ)さんから受け継いだ伝統的な技法で製作しています。今では先代と同じく、すべての工程を光寿さんが中心となってこなしています。
穏やかな冬晴れとなった本日(6日)、同工場の干し場「やぐら」には、染め上げた生地が吊るされ、風にはためいていました。手ぬぐいは、落語家の高座名や絵柄、アラビア文字が書かれたものなど色もデザインも様々。コロナ禍も明け、今年は早いもので5月頃から受注が始まりました。年の瀬が押し迫ったこの時期は、一日に平均1,600本ほどの手ぬぐいを生産しており、年賀贈答に用いられる来年の干支「巳」があしらわれたものや企業名の入ったものなどに集中しています。年内の作業は27日頃まで続きます。
光寿さんは、「プリント加工と違って裏表がなく、使いやすいのが特徴です。手染めならではのやわらかな風合いを楽しんでほしい」と話しました。なお、同工場では受注生産と卸売りのみで、小売りは承っていません。
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