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更新日:2026年5月29日

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2026年5月29日 「江戸扇子」が出荷最盛期

伝統の技が光る粋な逸品

江戸時代から伝わる伝統工芸品「江戸扇子」の技を引き継ぐ江戸扇子工房「まつ井(北篠崎2丁目)」では、本格的な夏に向けて注文が増え始め、連日作業に追われています。

「江戸扇子」は、元禄年間に京都から伝わったのが始まりと言われ、貴族文化で誕生した繊細で雅やかな「京扇子」に比べ、粋ですっきりとした印象。約30本の骨を使用し、扇面に華麗な綿や絹が用いられる京扇子とは対照的に、江戸の町人文化で生まれた江戸扇子は、15本の竹の骨と和紙のみで制作されます。パチッと音を立ててきれいに閉じるのが特徴で、寄席などで高座扇子としても使われています。2枚の表紙に芯紙をはさんで貼り合わせて平地を作る「扇面加工」や、折り目がついた型紙で平地をはさんで折り合わせる「折り」、骨にのりをつけて扇面の穴に1本ずつ差し込む「中付」など、30以上ある制作工程を一人の職人が全て行うことで、こだわりや趣が扇子に表れるのが魅力です。

同工房で江戸扇子を制作しているのは、都内でもわずかとなった職人の一人である松井宏(まついひろし/79歳/江戸川区指定無形文化財/平成26年度東京都優秀技能者知事賞受賞)さん。昭和50年代頃までは都内に20人以上いた職人も徐々に減少し、区内では松井さんただ一人が江戸から続く伝統を守り続けています。伝統的な絵柄の扇子を制作する一方で、美大生とのコラボレーションで新たな伝統工芸品の開発に取り組むなど、精力的に制作活動を行っています。

江戸扇子

今年も、本格的な夏を前に4月頃から注文が増加。5月から8月にかけては特に注文が集中し、松井さんは午前9時から翌日午前0時頃まで連日制作に追われています。本日(29日)も、工房では「折り」や「中付」などの作業を行っていました。扇面に描かれるデザインは、区特産の金魚や朝顔、花火といった夏らしい絵柄や、干支を描いたものなどが人気。近年は外国人観光客からも注目を集めており、パステルカラーなど明るい色使いのものや、和柄をあしらった日本らしいデザインなどの注文が増えています。また、ロングセラー商品となっている「グラデーション扇子」も今年の売れ筋の一つ。あおぐ時に着物の袖に当たらないよう片側が短いデザインとなっているのが特徴で、閉じたときの扇面の美しい模様とグラデーションが目を引きます。江戸の粋を継承する松井さんと学生の斬新なデザインアイデアから生み出された逸品です。

夏場だけでなく、贈答用などで一年中注文が尽きないと話す松井さんは、「若い方から高齢の方まで多くの人に使ってもらい、伝統工芸に興味をもってもらいたい。最近は物価高騰の影響もありますので、扇風機やエアコンだけでなく手元の扇子で涼をとるのもよいのではないでしょうか」と話しています。

現在は、タワーホール船堀(船堀4)内「アンテナショップ エドマチ」や、篠崎文化プラザ(篠崎町7丁目)内「伝統工芸カフェ・アルティザン」などで店舗販売しています。

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