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更新日:2025年6月18日

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2025年6月18日 伝統工芸品「つりしのぶ」の出荷が最盛期

都内唯一の専業生産者 伝統絶やさず

つりしのぶ

軒下などに吊り下げて、暑い夏を涼やかに演出する伝統工芸品「つりしのぶ」。都内唯一の専業生産者「萬園(よろずえん/松島1丁目)」では、出荷の最盛期を迎え、園内にずらりと並んだつりしのぶの水やりや葉の手入れなどの仕上げ作業が行われています。

つりしのぶは、シダ植物の一種「シノブ」の根茎を、ヤマゴケを巻き付けた竹材に絡ませた観葉植物です。その起源は江戸時代にまで遡り、庭師たちがお得意様へのお中元用に作ったのが始まりと言われています。乾燥に強く、寒さにも耐え忍ぶことから「シノブ」と名付けられました。コケに水を含ませると青々とした葉を茂らせ、盛夏に涼を演出します。昭和30年代頃までは区内でも20軒ほどが生産していましたが、シノブの採取者の減少や後継者不足などにより、今では都内で「萬園」のみが専業としてその技を受け継いでいます。

つりしのぶを手掛けている深野英子(ふかのえいこ/76歳)さんは、二代目の深野晃正(ふかのてるまさ/区指定無形文化財/平成22年度東京都優秀技能者知事賞受賞)さんの妻。2年前に亡くなった晃正さんとともに、昭和10年(1935年)から続く同園を、半世紀以上に渡って守ってきました。夫婦で手掛けたつりしのぶは、多い時には年間で3,000個を超えることも。素材選びにも妥協せず、質の良い丈夫なシノブを求めて、2人で群馬県など関東近県の山まで足を運ぶこともあったと言います。現在は、英子さんと息子の浩正(ひろまさ/49歳)さんがその製作にあたっています。シノブの入手が難しくなってきたこともあり生産数は年々減少していますが、今年は少し多めに入手できたことで昨年よりも50個多い200個を生産。晃正さんが残した伝統の技と“多くの人に伝統の品を届けたい”という想いを受け継ぎ、一つ一つ丁寧に作り上げます。

つりしのぶを見つめる深野さん

同園で生産されるつりしのぶは、芯材を「井」の字に組んだ「イゲタ」や手のひらサイズの丸いフォルムがかわいらしい「森の小玉」など約10種類。昔ながらの吊り下げ型に加え、インテリアとして卓上に飾ることができる置き型など、形や大きさ、デザインは様々で、価格も税込3千円から数万円です。中でも人気なのが、井桁に組んだ木材の中にシノブをあしらった「井戸(税込3,000円)」。見た目の涼感や和の風情から、今では全体の売り上げの半分を占める看板商品です。

出荷の最盛期を迎えた今日(18日)、同園では朝一の水やりを終えた英子さんが、青々と茂ったシノブの葉を丁寧に確認していました。英子さんは「シノブが手に入る間は、伝統工芸品のつりしのぶをできる限り作り続けたい。今年の夏も暑くなりそうなので、つりしのぶを見て涼んでもらえたら嬉しいです」と話しました。

同園では、伝統工芸展や夏まつりなどに展示販売するほか、タワーホール船堀(船堀4丁目)内のアンテナショップ「エドマチ」で販売しています。同園での販売は、事前にお問い合わせください。

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