更新日:2024年12月15日
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先人たちが築き上げてきた住みよい江戸川区を未来につなぐ
令和6年第4回江戸川区議会定例会が、11月22日から12月10日までの会期で開催されました。本会議冒頭に行われた斉藤区長の招集あいさつを紹介します。
災害の多い一年 地震・水害にしっかりと備える
早いもので、今年もあと1カ月余りとなりました。振り返れば、今年は正月に能登半島地震が発生し、その復興が進み始めたところに集中豪雨が襲うなど、能登地方はこの短期間に二度の災害に見舞われました。また、日本各地でも地震や水害が頻発するなど、今年は災害の多い一年になっています。被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げるとともに、いつ何時起こるか分からない災害に対して、しっかりとした備えをしていく必要があると改めて強く認識いたしました。
地震への備えに加え、本区においては、三方を川や海に囲まれた低地であるという地理的な特性から、水害への備えも重要になります。さて今年は、大洪水をきっかけに人の手で掘り進められた川、「荒川放水路」が通水して100年という節目の年でありました。この間、荒川は一度も決壊を起こさず、最下流にある本区を守り続けてくれました。今も悠々と流れる雄大な姿を見ると、先人の、自分たちの世代だけではなく、将来世代に向けても「水害を防ぎ、みんなの命を守るんだ」という熱き想いに、ただただ感謝するばかりです。
また、来年は昭和が始まってから100年の年になります。先ほどの荒川放水路の開削もそうですが、長い時を経て今もなお、私たちにその恩恵を与えてくれている当時の皆さまの努力に支えられて、今日の住みよい江戸川区が成り立っているとしみじみ実感したところです。
人の手でつくられた荒川放水路は通水100年を迎えました
文化・スポーツの振興拠点が来春に開設
さて今年は、パリでオリンピック・パラリンピックが開催された年でもありました。遠く離れた海の向こうでの開催でしたが、コロナ禍が明け、にぎわいの戻った平和の祭典から、スポーツの持つ強い力を感じました。
スポーツには“する”ことだけでなく、“観て感動する”ことでも、心身ともに良い影響があるといわれています。これはスポーツのみならず、文化芸術でも同じような効果が期待されます。このように、文化やスポーツは人々の生きがいにつながり、いくつになっても生き生きと暮らすための原動力になります。
このたび、条例を提案しておりますが、これら文化・スポーツの持つ力をより広めていくため、学校跡地を活用し、振興の拠点となる「文化スポーツプラザ」を整備したいと考えており、令和7年4月のオープンに向けて、本区と連携をしている東京藝術大学とも検討を進めているところです。年齢や障害の有無にかかわらず、ご自身の望む形で文化やスポーツに親しめる環境を整えてまいります。
冒頭申し上げましたように、襲い来る水害に悩み、100年前に荒川放水路を開削したのは「人」であります。また現在、日々の生活を営むのも、文化・スポーツなどを通じて生き生きと暮らすのも「人」であります。本区の誕生から90年余り、昭和・平成・令和と時代は変われども、脈々と受け継がれてきた良き風土や街並み、そして「将来に向けて住みよいまちを残したい」という人々の想いを、区民の皆さまとともに考えながら、しっかりと未来につなげてまいります。
「ボッチャ交流大会」の様子。区は誰もが文化やスポーツに親しめる環境を整えていきます
区民アンケートを実施 区が目指すべき方向性を決定
そのような想いを胸に、76年後の2100年に向けて持続可能な江戸川区を構築すべく、区民の皆さまとともに作り上げたビジョンの実現を目指し、今年はアクションプランの実践に取り組んでまいりました。
8月に広報誌などで将来に向けた区の考えを公表して意見を募集し、その取り組みの一環で、将来を担う子どもたちの声も聴くため、ワークショップを開催いたしました。
10月には頂いた意見を公表するとともに区民アンケートを実施。今月(11月)18日に締め切りを迎えましたが、この1カ月の間に4万6千人を超える方から回答いただきました。多くの方にご協力いただき、ありがとうございました。
アンケートを実施するに当たり、区の人口やお金が将来にかけて右肩下がりで減っていく見込みであるという、誰もがあまり触れたくないことも正直にお示ししています。その将来を見据えた上で、今後目指すべき方向性をどうしたらよいか、行政サービスの水準と区民の皆さまの負担のバランスを取る前提の下、それぞれ「高い」「中くらい」「低い」の三つの選択肢から、良いと思うものを一つ選んでいただきました。結果は、「中サービス−中負担」に全体の約8割、3万6千を超える回答があり、こちらの選択肢が最多となりました。
今回、区民の皆さまに選択いただいたという結果を受けて、これを今後区が目指すべき方向性として定めたいと思います。
広報えどがわ10月特別号
区役所や地域のイベントなどで区民アンケートの周知を行いました
今の住みよいまちを将来に向け、より良いものに
現在、この方向性を踏まえた具体的な事業の内容を検討しているところです。その中には「中サービス」に向けて、現在の高い水準からサービス内容を再構築するものや、「中負担」に向けて、区民の皆さまに適正な負担をお願いするものもあります。
一連の流れを通じて、「これは区民サービスの切り下げではないか」といったご意見を頂くこともありますが、今回の取り組みの全体像はそればかりではありません。見直すべきものはしっかりと見直す一方で、高齢の方や障害のある方などへの支援に加えて、先ほど触れました文化・スポーツの振興といった生きがいづくりの推進に向けたものもございます。また、本区が誇る地域コミュニティの振興や区内産業の活性化、そして安全で安心して暮らせる防災・防犯まちづくりも含まれており、これらの根底にあるのは「今の住みよいまちを将来に向けてより良いものにしていきたい」という想いです。
望む方の希望をかなえる子育てしやすい環境を整備
この「中サービス−中負担」に向けた取り組みは、将来を見据えて今から計画的に「人口減少のリスクに備えていく」ものであります。このように持続可能な江戸川区を構築する一方で、矛盾してはおりますが人口が減らないように、少子化の進行を緩やかにしていく取り組みにも挑戦してまいります。
具体的には、他の自治体からの転入人口を増やす取り組みは別として、望む方が産み育てることができ、出生率が自然と上向いていくような環境を整えていきたいと考えています。
先日、国が発表した統計によりますと、今年の上半期の出生数は33万人に届かず、年間出生数が初めて70万人を割るのではないかと報道されています。このまま少子化が進行すると、地域や経済の担い手が減り、社会保障制度などにも影響を及ぼす恐れがあります。今を生きる私たちも、若い世代のみならず社会全体で取り組むべき課題として、力を入れていく必要があります。
当然、パートナーや子どもに関する選択は個人の自由で、尊重されるべきものでありますが、区として望む方が希望をかなえられる社会を実現するため、これまでに進めてきた「えどがわ50の子育てプラン」の内容をさらに磨き上げ、また、昨今取り沙汰される「小1の壁」といった子育て世帯が抱える悩みを解消する取り組みも検討してまいります。
これらの人口減少対策は効果が出るまでに時間を要しますが、少子化傾向を好転させ、社会全体にその恩恵が広がるよう一体的に進めてまいります。
希望あふれる未来に向け子どもたちへの教育に注力
今申し上げた考えは、少子化傾向を緩やかにし、「人口減少を和らげる」ためのものであります。見方を変えて、仮に人口が減少しても、それを上回る経済成長を実現し区の財源を確保することで、今回皆さまに問いかけた取り組みに着手する必要はないという考えもあります。
そのためには格段の経済成長が必要ですが、一つの自治体にできることには限界があることも事実です。そこで区民の皆さまに身近な基礎的自治体として、何ができるかを思案したところ、それは将来を担う子どもたちへの「教育」を充実させることではないかと考えました。毎年4千を超える新たな命が生まれる本区の強みを生かし、経済成長を支える取り組みの一つとして、子どもたちへの「教育」を充実させてまいります。
こちらも先ほどの「人口減少を和らげる」ものと同様に力を入れていく取り組みになりますが、基礎的な学力がしっかり身に付くよう一人ひとりにあったサポートを行い、子どもたちの持つ可能性を伸ばしていきます。また、やむを得ず登校が難しい児童・生徒に向けた多様な学びの場を提供することにより、誰一人取り残さない教育を実践してまいります。
これまで「人口減少に備える」「人口減少を和らげる」「経済成長を支える人材の育成、すなわち子どもたちへの教育の充実」と、将来に向けて区が掲げる三つの方針についてお話しいたしました。いずれも詳しくは、12月中に発行いたします広報えどがわ特別号などを通じてお示しし、区民の皆さまに丁寧に説明をしていきたいと考えています。
そうした中でさまざまなご意見を頂くこともあるかと思いますが、区の考えをお伝えしながら、その一つ一つを受け止めてまいります。また区議会議員の皆さまには、引き続きご意見を頂ければと思います。
冒頭に述べましたとおり、今を生きる我々には、長きにわたり先人たちが築き上げてきた住みよい江戸川区を未来につないでいく責務があります。将来に向けて誰もが希望の持てる社会をつくるために、これからも区政運営に邁進してまいります。
さて、今回提案いたします補正予算は、一般会計、特別会計合わせて、総額は63億5千万円余であります。
また、本定例会には、これら補正予算に加え、条例の新設・改正など、合計で13件の議案をお諮りしています。
また、2件の報告事項もございます。それぞれご審議の上、ご決定いただきたいと存じます。
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