更新日:2022年7月12日
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漆芸 山口敦雄 漆芸について
~厚さ数ミクロンの差を指先で感じる~
日本における漆工の歴史は大変古く、数千年前の縄文時代にまで遡ります。
貝塚から発掘された、土器や木器に塗られた漆は、数千年を経た現在でも見事な肌を保ち、その耐久性の高さを示しています。
現在の漆の技法は、大陸から仏教文化の伝来とともに、シルクロードを経て日本に伝えられたとされています。法隆寺に残る玉虫厨子や、正倉院の唐太刀等からもそれを窺い知ることができます。
陶器を英語で「china」というのに対して、漆器は「japan」と呼ばれます。
中国から伝えられた漆塗りの技術は、日本で大きく開花し、中国のそれを大きく凌ぐまでになり、世界に通用する、日本を代表する文化にまでなったのです。
一時期、プラスチック等の合成樹脂を使った安価なイミテーション漆器製品が大量生産されたことにより、本物の漆器の存在が危ぶまれたこともあります。
しかし、現在では化学製品の危険性が叫ばれる中、環境に優しい、天然素材の塗料として漆が再び見直されてきています。