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更新日:2021年6月17日

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2021年(令和3年)6月17日 江戸の涼を演出する「つりしのぶ」出荷シーズンを迎える

“都内で唯一の専業生産者である「萬園」”

軒下などに吊り下げ暑い夏を涼やかに演出する伝統工芸品「つりしのぶ」。例年、出荷の最盛期を迎えるこの時期、都内で唯一の専業生産者である「萬園(よろずえん/松島1丁目)」では、仕上げの最終確認に勤しんでいました。

つりしのぶは、ヤマゴケを巻き付けた竹材にシダ植物の一種であるシノブの根茎をはわせた観葉植物。乾燥に強く寒い冬を耐え忍ぶことから「シノブ」と名付けられました。コケに水を含ませると青々とした葉を茂らせ、涼を感じさせます。江戸時代の庭師たちがお得意様へのお中元用に作ったのが始まりとされ、明治から昭和初期にかけて一般家庭にも定着。昭和30年代頃までは区内でも生産者が20軒ほどありましたが、生息地の減少などにより、現在では、「萬園」が都内で唯一の専業生産者になりました。

つりしのぶを手掛けているのは、深野晃正さん。昭和10年から続く「萬園」の二代目です。先代である父親の手伝いから始めて、60年以上にわたって培われた技術・技能は高く評価されており、平成22年に都優秀技術者知事賞を受賞。深野さんのこだわりは素材にまで及び、良質で丈夫なハイゴケを求めて、千葉県など関東近郊の山まで自ら出向くほど。昭和30年~40年頃には、先代と2人で年間約1万個を生産したときもありました。現在は奥さんや息子さんと家族三人で手掛けています。高齢化によるしのぶの取り手の減少とともに、昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により一部出荷先の見通しが立たなくなったため、今年の生産量は例年よりも少なく、年間約1,000個程度になります。

同園で生産されるつりしのぶは、芯材を「井」の字に組んだ「イゲタ」や杉の葉を束ねて球状にした「しのぶ玉 酒林(さかばやし)」など全部で約20種類。井桁に組み合わせた木材の中にシノブを入れた「井戸」が人気で、売り上げの3割を占めます。価格は3千円から数万円までで、インテリアとして楽しむなど幅広いニーズがあります。また、美術大学生と共同して商品開発を行う産学公プロジェクトに参画して、毎年新作の発表にも取組んでいます。なお、各地の百貨店での催事などに出荷する他、直販やネットショップ「えどコレ!」(https://www.rakuten.ne.jp/gold/meipro/別ウィンドウで開きます)、アンテナショップ「エドマチ」(タワーホール船堀内)でも販売を行っています。

「直販を希望される方はまずお電話」と呼びかける深野さんは、「程よく成長して出来には満足している。一日一回根元まで水に浸せば、肥料などもいらない。育て方は簡単で自然な涼を感じられる。ご家庭でもつりしのぶを飾って、夏の暑さをしのいでほしい」と話しています。

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