更新日:2022年4月15日
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特集 あなたの“働きたい”に応える みんなの就労センター
働く意欲のある方が自分らしく働けることを目指し、「一般社団法人みんなの就労センター」が就労を希望される方を支援します。区の支援の下、誰も取り残さない共生社会の実現を目指す同センターの取り組みを紹介します。
みんなの就労センター
誰も取り残さない就労支援
区では就労相談窓口、ほっとワークえどがわ、障害者就労支援センター、シルバー人材センターなどの窓口を通じ、さまざまな形で、働きたい方の就労を支援しています。しかし、「退職後もフルタイムで働きたい」「働いたことがないが社会に一歩踏み出したい」「短時間なら働けるが条件に合う仕事が見つからない」など、就労を希望される方の事情は多岐にわたります。このような要望に「みんなの就労センター」(以下センター)が応えていきます。
一人ひとりに寄り添って
就労を希望する方は、まずセンターでの面談を経て会員として登録。面談では、その方の希望や特性を丹念に聞き取ります。フルタイムの就業を希望する方には知識や経験を生かせる仕事を、働くことに慣れることを目標としている方には短時間の勤務や負荷の低い業務を紹介するなど、その人に合った柔軟な働き方が実現できるように支援します。
みんなの就労センターの特徴
丁寧なフォロー 履歴書の作成など一人ひとりの事情に合わせて丁寧にフォローします
共生社会にふさわしい働き方 年齢や個人の能力に関係なく働く意欲のある方の就労を支援します
登録から紹介まで完全無料 求職者の方は一切費用がかかりません
地域に密着した求人情報 江戸川区の情報を中心に提供しています
働きたい人
「働ける喜びを実感しています」と話す岩淵さん
「どうせ生きるなら誰かのために」
6年前まで飲食店で調理師として働いていた岩淵宣夫(いわぶちのぶお)さん。心身に不調をきたし、5年間ひきこもり生活を送っていましたが、区のひきこもり相談窓口を経て、センターへ就労の相談に訪れました。岩淵さんは「生き方に悩んだときに、どうせ生きるなら誰かのためになりたいと思いました。そのためには働こうと思ったことがセンターへ相談したきっかけです」と振り返ります。
岩淵さんは、もともと清掃が好きだったことから、センターの紹介で妙勝寺(みょうしょうじ)(江戸川6)で週2日の境内の清掃作業に就きました。妙勝寺での岩淵さんの働きぶりについて高松孝行(たかまつこうぎょう/「高」の字ははしごだか)住職(左下写真)は「非常に熱心で真面目。清掃のやり方についていろいろ提案をしてくれるなど、お願いした以上のことをやってくれて、とても助かっています」と話します。
履歴書の書き方も親身にフォロー
妙勝寺での約半年間の作業期間中、毎月月末にセンターの担当者からは何か困っていることはないかなどフォローの連絡をしています。「センターの方は、私の事情を理解してちょうどよい距離感で付き合ってくれることが良かったです」と岩淵さん。
センターからの提案で、この春に清掃会社へフルタイムの就職に向けた面接に挑むことになりました。「担当の方は私が苦手な履歴書の職歴の書き方など細かいことまで親身に教えてくれて、本当に助かりました。ぜひこの機会に頑張りたいと思います」と就職への意欲を話します。
働いてほしい人
「作業者の方には球場の運営に関わることは貴重な経験だと思います。自分たちが清掃した観客席が、夏の高校野球の予選のときにお客さんで埋め尽くされているのを見たら誇らしさを感じていただけるのではないでしょうか」と話す兼田さん
作業を依頼して職員のスキルアップ
センターを通じて雇用・作業依頼をする事業者には、もちろん一般の企業も含まれます。大型施設の管理などを手掛けるオーエンスもその一つ。区内では多くのスポーツ施設・区民施設などの管理業務を担っている同社は、そのうち区球場の清掃業務を今春からセンターに依頼することにしました。依頼のきっかけは、これまで同社の職員が担っていた8カ所もある球場内のトイレや2千席を超える観客席の清掃作業をセンターに依頼することにより、職員の業務効率化を図るためだったそうです。
区内4つのスポーツ施設の管理業務を取りまとめる兼田僚太郎(かねたりょうたろう)さんは、「センターに作業を依頼した分、研修など私たちの職員のスキルアップの時間を確保できました。職員は区民の皆さんのスポーツの相談を日々受けているので、サービスの向上にもつながると考えています」と話します。
センターとの協働で施設を改善!
観客席の清掃日に、作業者の皆さんが一席ずつ砂ぼこりを払う様子を見届ける兼田さん。「作業後に作業者の方が作業の手順などについて提案してくれることがあります。私たちはスポーツ専門の職員が多いので、異なる視点で提案してくれることは非常に助かっています」
他の運動施設でもグラウンドの土の手入れなど、今後もセンターに依頼しながらスポーツ環境の改善を図っていく予定だそうです。
球場の作業に従事するグループの1人の小代幸生(しょうだいさちお)さん。「昔から野球が好きで、微力ながら球児を支える役割の一端を担えることにやりがいを感じます」と話します
オフィスサポートセンターには毎日さまざまな作業の依頼があります。作業に従事する方の事情を踏まえて分担しながら取り組んでいます
社会に慣れていきたい
センターの強みの一つは区役所との連携。区役所内で発生した定型的な業務などを担うことにより、働く人の事情に合わせた柔軟な働き方が可能です。区の組織である「オフィスサポートセンター」もそのうちの一つ。採用された方は、それぞれが可能な範囲の勤務時間内で、書類の仕分けや封詰めなどの作業に従事します。
「まずは社会に慣れることから始めたい―」など、センターの会員が就労に対して抱える事情は多種多様です。短時間の就労を希望する障害のある方や、社会で働くためのきっかけづくりを必要とするひきこもりの状態にあった方など、いろいろな立場の方を就労に結び付けていきます。現在は5人の障害のある方が就労しています。
ここで指導員として働く志村朱美(しむらあけみ)さんは「障害のある方やひきこもりの方は、出勤することが最初のハードルです。皆さん一生懸命、毎日出勤して作業を頑張っています。ここでの作業を通じて自分の理解力や才能を自身で把握して成長につなげてほしいと思います」と話します。
誰もが自分らしく働ける社会に
区が目指す誰もが安心して自分らしく暮らせる「ともに生きるまち」の実現に向け、就労意欲のある方に個々の能力を発揮できる就労の場を提供したい―という思いから設立されたみんなの就労センター。これからも皆さんの「働きたい」という気持ちに寄り添い、誰もが自分らしく働ける場を提供していきます。
一般社団法人 みんなの就労センター 住所:江戸川区西小松川町34番1号 |