更新日:2021年2月15日
ここから本文です。
21時ごろにスポーツランドのアイススケートリンクに行くと、スティックと氷が激しくぶつかる音が響き渡っていました。区内唯一のジュニアアイスホッケーチームである「江戸川アーマーズJr.アイスホッケークラブ」(以下、アーマーズ)。ここには幼児から中学生までの約50人の選手が所属しています。このクラブで19年間指導をしている清水昭宏さんは、氷上の格闘技と呼ばれるアイスホッケーを通じて伝えられることがあると言います。
─選手が氷上をすごいスピードで移動している姿が印象的でした。けがはしないのですか?
接触プレーが認められるのは中学生からですが、小学生でも止まりきれずに接触することがあります。そのため選手たちはヘルメットやプロテクターで身を守っていますが、時には時速50kmほどのスピードで選手同士が衝突してけがをすることもあります。
また、アイスホッケーのパック(球技におけるボールに相当するもの)は卵3個分ほどの重さしかありませんが、硬質ゴム製で力のある選手が全力でたたけば時速160kmにも達するため、凶器になり得ます。
このように危険がつきもののスポーツだからこそ、けがを未然に防ぐためにも防具だけに頼るのではなく、けがをしない・させない気持ちを持ってプレーをすることが重要なんです。敵味方関係なく、一緒にプレーをする周りの方への思いやりが大切なスポーツだといえます。
─指導する時に大切にしていることは
選手たちには「常にいろいろなことに挑戦してほしい」という気持ちを持って接しています。
数年前のことですが、とても技術が高いフォワードの選手がアーマーズに加入してきた時に、ある女子選手が自分のポジションをフォワードからディフェンスに変えてほしいと申し出てきたことがありました。「自分が今まで経験したことがないポジションだけれど、チーム全体の攻守のバランスを取るためにチャレンジしたい」と言うのです。
彼女が申し出た元々のきっかけはチーム全体のことを考えてくれてのことでしたが、私は常に選手たちに挑戦するよう伝えていますので、本人の強い意向を尊重しポジションチェンジを認めました。
その結果、アーマーズは関東大会初優勝を成し遂げ、彼女は18歳以下の女子日本代表にも選ばれました。
このことは成功事例となりましたが、たとえ失敗したとしても挑戦したことは選手にとって財産になります。「失敗・挫折大いに結構」。そのような寛容な心で選手の挑戦する姿勢を見守っていきたいですね。
スポーツランド内にある都内唯一の公営アイススケートリンクで、練習に励む選手たち
─小学4年生から中学3年生までの選手が参加する北海道の夏合宿では、どのようなことを教えていますか
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止せざるを得ませんでしたが、アーマーズにとって合宿は、選手に役割を与えて”考える”ことの大切さを伝える重要な場です。上級生が下級生の取りまとめ役をして、コーチ陣は選手に対して基本的に口出しはしません。
例えば、最上級生の中学3年生の選手たちは夜にミーティングを開き、日中発生した課題を皆で話し合い解決策を探していました。また、選手が部屋や脱衣所などの清掃や洗濯を全員で行うことで各自に責任感や自立心が備わり、食事の準備・後片付けなどは当番を決めなくても選手たちが考えて動きます。合宿が終わると、保護者から「子どもが成長した」と感謝されるほどです。私たちコーチ陣もそういった声を聞くと、改めて選手の成長を感じうれしく思います。
また、私は選手たちに考えを整理することができる日記を書くよう伝えています。アイスホッケーは試合展開が早く、選手は瞬時に物事を判断する必要がありますが、一方で試合に勝つためにはじっくり戦略を練る必要があるので、その習慣が付く日記は重宝しています。
─アーマーズを巣立っていく選手に対して今後期待していることは
これから選手たちはさまざまな試練に直面することがあると思いますが、どんな困難にも負けない人になってほしいと思います。むしろ、大きな壁に果敢に挑戦し、失敗・挫折を重ねてたくましくなってほしいですね。また、困っている人がいれば、アイスホッケーを通じて育まれた思いやりの心を持って人助けをしてほしい。それに尽きます。
お問い合わせ
このページはSDGs推進部広報課が担当しています。
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
対象者向け情報
地域情報